第1回【末好宏紀】みんなのインテリアストーリー

インテリアにこだわる、というと少しハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、自分にとって心地よい場所をつくると考えたらもっと気楽に楽しめますよね。 インテリアを楽しむ人の部屋づくりエピソードから、そんな部屋づくりのヒントをLayoutの仲間たちに語ってもらった「みんなのインテリアストーリー」。

いまは本当に好きなものだけに愛情を注ぎたい

——412 by FOURANTS 末好宏紀さんの第1話

インテリア好きな人たちが、インテリアに目覚めたきっかけはなんだったのでしょう。いつか手に入れたいものに出合ったとき? それとも、はじめて大きな家具を買ったとき?

今回の「みんなのインテリアストーリー」にご登場いただくのは、広島のライフスタイルショップ、412 by FOURANTSの末好宏紀さん。末好さんがインテリアに目覚めたきっかけは、20歳のときにお母さまに誘われてインテリアショップに足を踏み入れた瞬間だったそう。第1話ではそこからはじまったインテリアと末好さんとの物語をお届けします。

インテリアの魅力と出合った20歳の衝撃

末吉さん20歳頃の写真

20歳の誕生日をお祝いする日、お母さまが末好さんを誘ったのは京都のインテリアショップ ACTUSでした。そこで末好さんは将来を決める出合いを経験します。

「それまで母が家具にこだわっているのは知っていたんですが、あまり興味がなかったんです。でもACTUSを見た瞬間、めっちゃおしゃれやん!となって。即、将来はインテリアショップで働こうと決めました」

決めた理由を、「好きになるのに理由はない」と、問答無用ともいうように答える末好さん。そこで働く人も、置いてあるものも、空間のすべてが輝いて見えたそうです。

その後の学生時代はインテリアショップで働くための準備期間。家具メーカーにインターンシップに行ったり、家具に関して見られるもの、得られる知識をことをとことん追求していきました。それと同時に自身の部屋のインテ

リアや暮らしも変化していきます。

「はじめて買ったのは、ヴィンテージのイームズの椅子でした。ぼろぼろの状態でしたが、それを持って帰っただけで部屋が輝き始めた気がしたんです」

朝起きたらまず、イームズの椅子を可愛いなと思って眺める日々。そんな風に思える家具をひとつ、ひとつ増やしていきました。いまの部屋もそれらの日々と家具の積み重ね。

「インテリアってその人の歴史だと思うんです。理想は好きなものが集まって、できあがった空間。相性とか組み合わせを考えて集めたわけじゃなくても、そういうものの集まりが結局はトータルでいいインテリアになるのではないでしょうか」

いっぺんにすべて整えることだけがインテリアづくりじゃない。その思いはインテリアの仕事に就いて10年経った今、なおさら確信として末好さんの心に根付いていると言います。

語りたい家具との出合いを求めて

将来の道を迷いなく決めた末好さんの家具選び。その基準もいたってシンプルなものでした。「いいなぁと思うかどうか」。ノーブランドでも、新品でも中古でも「いいものはいい」。でも、その「いい」の基準ってなんでしょう?

「直感的にいいと感じることが多いのですが、改めて考えると、そのものにストーリーがあることと、人が持っていないものが条件かもしれません。あとは自慢したいものかどうかですね」

自慢のポイントは、ブランドや高価さではないそう。ひと言でいえば世界を変えたかどうか、なのだとか。たとえば先ほどの話にあがったイームズの、シェルチェアの場合。

「世界で最初に一般の人たちにデザインを与えた椅子ですよ。今より階級差の激しかった時代。大衆の心を掴んで世の中を変えた椅子だと思ったら、本当にかっこいいじゃないですか。人に話したくてたまらなくなってしまいます。しかもそれでいて、誰にも知られていない家具があるとしたら、それに尽きることはないですね!」

もしいつかそんな家具に出合い、誰かにそれを語るとき、きっと末好さんの姿は20歳の頃にインテリアショップで見た輝きと同じくらいキラキラと、輝いているに違いありません。

>次回は末好さんの部屋づくりのこだわりを語っていただきます


末好宏紀(すえよし・ひろき)さん

株式会社フォー・アンツ取締役。ACTUS広島店店長を経て、広島市緑井のライフスタイルショップ 412 by FOURANTSの立ち上げに従事。現在店長を務める。