ACTUS 広島店
橋口博史さんの 第2話
前回の「みんなのインテリアストーリー」で、いまのインテリア観に至るまでのストーリーを語ってくれた橋口博史さん。
第2話では、インテリア好きの人は家具のどんなところに心くすぐられるのかについてうかがいます。
いわば、橋口さんのフェティシズム。
これを読んだら、みなさんの家具を見方も変わるかも!
家具も車も、女性も!? 後ろ姿に色気を感じる
「ラインです。線!」
インテリアの偏愛ポイントはどこですかとの質問に、橋口さんは間髪入れずにこう答えました。
「点と点を結ぶライン。それがものの形をつくっていますよね。
そのラインを見るのが好きなんです。
家具だけでなく、車でも文字のフォントでもそう。
ラインが美しいものはフォルムも美しい。そういうモノたちに魅かれます」
なかでも橋口さんにとって、後ろ姿は重要。後ろから見た時の曲線美に、色気や格好よさを感じるといいます。
好みの女性について語るように熱のこもった口調で、後ろ姿の美学を語る橋口さん。何においてもデザインを判断するときは、まず後ろ姿からという徹底ぶりです。
インテリアの中では特に人の体に沿うようにつくられた椅子に、その魅力を持ったものが多いのだそう。
たとえばとあげてくれたのがミッドセンチュリーデザインの名作のひとつ、アルネ・ヤコブセンによるセブンチェア。
「背から座面にかけてのくびれ、このラインが完璧に美しい」と、そばにあったセブンチェアの輪郭に手を沿わせながら語るほど。
美しい曲線は見て愛でるだけでなく、触れたときも偏愛感をくすぐるのです。曲線を撫でて「たまらないなぁ」と思うのは、橋口さん的ショップスタッフあるあるなのだとか。
「日本人は手の感触をすごく大事にするといわれていますが、ディテールが美しいデザインはそんな僕らの心を満たしてくれるものではないでしょうか。
触れているだけでとか、使っているだけで心を満たしてくれるものを持つことで、心がハッピーになったり、心地よくなったりしますよね。
僕にとってディテールが美しいというのは、まさにそういう感じですね」
自分的インテリアの偏愛ポイントを見つけることで、家具を見るのがもっと楽しくなりそうです。
次にインテリアショップを訪れるときは、まずは椅子から。正面だけではなく、後ろ姿も眺めてみてはいかがでしょう。
次回は、橋口さんにプロの視点でインテリアの楽しみ方をアドバイスいただきます。
橋口博史(はしぐち・ひろし)さん
ホテルや飲食関係の仕事を経て、インテリア販売の仕事に従事。現在、ACTUS 広島店に勤務。
木工関係の仕事をしていた父の影響で、子どもの頃から木やものづくりが身近な環境に。
小学生の頃はギターを自作したことも。