住んでいる石川県金沢市は、石川県の県庁所在地で人口46万人の中核市。
2015年に北陸新幹線が開通してから国内外の観光客が、一気に増えた印象です。
コロナ禍になる前は、週末の21世紀美術館は入場を待つ人で大行列、金沢おでんの店も地元人が行くのを諦めるくらいの行列(知らない方も多いと思いますが、金沢はおでんも人気です)街中には、ホテルが乱立して本当にこんなにホテルが必要なのかと思いながら、建設中の工事現場を見ています。
町屋を改装した宿泊施設も多い。
工芸作家さんも多く2020年には、明治期に建てられた旧陸軍の施設を移築した建物に国立工芸館が東京から移転してきます。
この数年での変化が大きい街です。
海や山に行くにもアクセスがしやすくて、夏はそこそこ暑く、冬はそこそこ雪が積もる土地柄。
都会では無いけど、何も無い田舎でもなくて暮らすことを考えると、なんでもほどほどが好きな僕には住みやすい街です。
そんな金沢市の住宅事情ですが、持ち家率が高く結婚したら戸建ての家を購入するのが人生の流れのようで、車社会でもあり郊外に土地を買って家を建てる人が多いです。
最近は、まちなかに住むと助成金がもらえて町屋をリノベーションする人もいます。僕みたいに40代で賃貸に住んでる人は稀ですが、近頃やっと少しだけ持ち家に興味が出てきました。
今住んでいる賃貸物件は、立地も悪くなく犀川という金沢市中心を流れている川沿いで、大好きな場所なので全然引越しする事も考えていなかったのですが、やっぱり賃貸物件なので融通が効かないのと、自分で考えた家ってどんなのになるのかなという興味が出てきたからです。
最近、家具のカタログに載っていたダヴィッド・グレットリさんと建築家の長坂常さんの対談記事にとても納得させられる内容がありました。
ダヴィッド・グレットリさんは、KARIMOKU NEW STANDARDをはじめ、国内外のメーカーやブランドのデザインディレクションを行っている方で長坂さんはスキーマ建築計画を主宰されていてブルーボトルコーヒーやイソップなど多数設計していて昨年もアルテックから同社の定番シリーズを日本の伝統技術、浮造(うづくり)と漆塗りの津軽塗りを掛けわせた独自の方法でカラリンシリーズを発表しています。
ヨーロッパと日本の空間と家具の関係についての違いという話があり、ダヴィッド・グレットリさんが「ヨーロッパの空間は空の容器。何の家具を置くかでその部屋の用途が決まる。
以前住んでいた京都の町屋は、空間が、素材も作りもスケール感も家具のようでとても体に近く、いつも触れているような感覚で過ごしていて、座る、寝るなどの行為も含めて設計されているみたいで家具はほとんどいらなく感じていた」との話があり、長坂さんが「昔ながらの日本家屋は、ちゃぶ台を出せばダイニングになり、布団を敷けば寝室になり同じ空間でも時間単位で用途が変化する。」
以前、古い日本家屋と呼ぶと格好いいですが、正確には築年数不明のぼろい平屋に住んでいたこともあったのですごくイメージが自分でできました。
でも僕は、ぼろい平屋にソファ置いたり、椅子置いたりして日本家屋とインポート家具とのバランス感覚を楽しんでました。
結構、畳にイームズのチェアとか馴染んでたなと思っています。
最近、なんとなく持ち家願望が出てきて、今は先に出てきたヨーロッパの空の容器と表現されていた空間が良いかなと思っています。
家具を置くことによって成立する空間で、何でも建築でするのではなく家具で構成した家を作りたい。
リビングでも造り付けで収納家具や飾り棚つけたりせずに、最低限の間取りは決める必要はあると思いますが、動かせないもので空間を構成すると気軽に模様替えや、部屋の用途が変わってしまった時に対応できないんじゃないかなと思ってます。
僕自身、家を建築することがあれば最低限の間取りを決めた空間で、床と壁と天井の素材に拘り、家具の配置を楽しみたいと思っています。
中古マンションや中古住宅を、スケルトンにして考えるのも楽しそう。いつになるか分かりませんが、散歩や自転車に乗って住みたいなと思う街を徘徊しながら、ゆるーく物件探しを楽しんでます。惹かれる空の容器を見つけたい。
(text : Doi)
DOI KOUHEI
富山県出身石川県金沢市在住 40歳
家具に興味を持ってから、インテリア関係の仕事に就きたいと思い金沢のインテリア専門学校へ、店舗内装デザイン会社の後、23歳ぐらいからインテリアショップ勤務。
現在も、金沢市内のインテリアショップで販売、法人営業、家具プラン作成たまに配送と何でもこなす。
趣味は、太らずにお酒を飲みたいための適度なランニングと包丁で野菜を切るのが楽しいので簡単な料理。