Layoutのセレクトするトライバルラグの中でも多く登場するバルーチ。
今回は、バルーチの人びとやラグのことをもう少し深くご紹介します。
彼らのことを知ると、今よりもっとバルーチのラグが魅力的に見えてくるはずです。
バルーチとは?
「バルーチ(Baluch / Baloch)」は、イラン東部からアフガニスタン、パキスタンにまたがる広い地域に暮らす人々です。
かつては羊やヤギ、らくだなどと一緒に遊牧生活をしながら暮らし、現在はほとんどの人たちが町や村に定住して暮らしています。
イラン東部の町や村には定住したバルーチの人たちが多く暮らし、家の中に織機をしつらえてお母さんたちが家事や仕事の合間にラグを織ります。
特に乾燥した薄茶色の大地と強い日差しの中での暮らしで生まれた彼らのラグたちは、その深い色や力強いデザインからバルーチの人たちのたくましさを感じます。
国またいで広い地域に暮らし、周囲のさまざまな人々や文化と交わってきたからこそバルーチの人たちの織るラグには地域やグループによって多くのバリエーションがあるところも魅力です。
花や植物、糸杉、鳥や動物、祈りのためのプレイヤーラグ。
周辺で生まれたデザインも柔軟に取り入れ、それを自分たちらしい幾何学的なデザインへと変えていく。
そんな自由さと懐の深さも、私たちがバルーチのラグに惹かれる理由です。
「バルーチ」という名前の由来
実は「バルーチ」という名前の語源は、現在もはっきりとは分かっていません。
諸説ある中には、古いペルシャ語で「鶏のとさか」や「冠」を意味する言葉に由来するという説があります。
ペルシャの叙事詩『シャーナーメ』には、バルーチの戦士たちが鶏のとさかのような頭飾りを身につけていたとも読める一節があり、そこから生まれた呼び名ではないかと考えた研究者もいました。
Layoutがイラン東部のターイバード近郊の村を訪れたときに出逢ったバルーチ族の男性も、白い布を何重にも巻いた立派なターバン姿でした。
もちろん、このターバンと「バルーチ」という名前の由来に直接の関係があるかどうかは定かではありません。
それでも、あのかっこいい姿を思い出すと、このターバンがその頭飾りに見えたのではないかな、とついそんなことを考えてしまいます。
いま出逢えるバルーチのラグたち
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バルーチのラグの魅力
深い色に隠されたデザイン
バルーチのラグといえば、深いボルドーやブラウン、黒に近いダークネイビーなどを重ねたシックな色使いも特徴のひとつ。
深いボルドーのフィールドに、黒にも見えるほど濃いネイビーで細かなモチーフを織り込んで、パッとラグを見ただけではそこにどんなモチーフが織り込まれているのかよく見えないことも。
そんなシックな色合いのラグに太陽の光が窓から差し込んだときや、見る角度が変わったときにさっきまで隠れていたモチーフがふっと浮かび上がることがあります。
そして、この深い色の中に効かせるのが、生成りやベージュの明るいライン。
細いボーダーの一本のライン、小さな花や動物の一部分。ほんの少し明るい色を置くだけで、バルーチの深い色の世界にリズムが生まれます。
すべてを一度に見せるのではなく、近づいたり、光が変わったり、見る方向を変えたりすることで気づく小さな仕掛け。
暮らしの中で何度も見ているはずなのに、「こんなところにもモチーフがあったんだ」と一緒に暮らす中でも新しい発見がある。
そんな奥行きのある色使いも、バルーチのラグのおもしろさです。
もちろん、たくさんのバリエーションのラグを織るバルーチなので、鮮やかな赤やブラウン系のラグも織ります。
バルーチリーフ
バルーチを代表するデザインのひとつ「バルーチリーフ」。Layoutスタッフもみんな大好きなモチーフです。
ギザギザとした大きな葉が、連なっていくバルーチの特徴的なデザイン。
赤と濃紺など2色の糸を使い、葉っぱの色を互い違いにするものを多く見かけます。
Layoutが訪れたイラン東部の町ターイバード近郊はこのデザインを昔から織っている地域のひとつ。そこで出逢った家族から教えてもらった名前が「ターキー」。
ペルシャ語の tāk は葡萄の木や蔓を意味していて、現地ではぶどうの葉を「Barg-e Tāki」と呼びます。
本物のぶどうの葉とは少し違う、ギザギザとした幾何学的な姿。
バルーチの近くに暮らすアフガニスタンのタイマニ族もこのターキーのデザインを織りますが、やっぱりこのデザインはバルーチのシグネチャーでもあり「バルーチリーフ」というのがしっくりきます。
ヤーグーブハーニー
細長い四角が縦横にきっちり並ぶ「ヤーグーブハーニー」と呼ばれるデザイン。
現地の言葉そのままだと少し呼びにくいので、私たちは「ヤグハニ」と呼んでいます。
バルーチ族の中でこのデザインを織るグループの名前からそう呼ばれるようになったようです。
並んだ四角の中に小さな模様がぎゅっと詰まっていて、周りがギザギザしているのも特徴的です。
遠くから見ると、なんだか大きな板チョコのよう。
深い赤やネイビーに、明るいベージュのラインが入ることでラグ全体の印象が暗く沈みすぎずインテリアにぐっと馴染みやすくなります。