Journey to Iran vol.12

2020.2/17(月)マシュハド
買付5日目 

バルーチ族の人々が暮らすアフガニスタン国境付近の村でのお話。

何回に分けるつもりなんだ!と思っている方も多いかと思いますがこの日は1日盛りだくさんだったので、もう少しお付き合いください。

3軒目のお宅訪問

最後にお邪魔したお家は織機を床に設置するタイプの水平織機でした。

織っていたラグは曲線的なデザインのいわゆるホラーサーンタイプのラグです。
花柄のデザインがちらっと見えますね。 ウールのペルシャンラグに近い構造とクオリティでした。

1つ前に訪れたお家では、竪機だったのでこのタイプのラグでも水平と垂直、どちらの織機も使っていることがわかりました!

こちらのお家ではバルーチの人々が一般的に使う糸の結び方などについて話を聞くことができました。
結びは非対称結び(ペルシャ結び)の左開きがやはり一般的のようです。
なぜ左開きなのかと質問すると、この経糸の張り方の場合は左開きのほうが糸が抜けにくいとのこと。
経糸と結び糸の相性については初めて聞いたので、これはぜひ検証してみたいですね!
緯糸は太い糸と細い糸を両方入れるタイプでよくいわれるバルーチのラグの特徴と一致しました。

ラグの結びについて

ラグの結びの話が出たので少しお話したいと思います。

ラグの構造を簡単にいうと、織機に張った経糸に毛足となる糸を横一列結んで、経糸に対して綾をとるように緯糸を入れて叩いて締める工程の繰り返しになります。
この時の”結び”について「トルコ結び」「ペルシャ結び」と大きく2種類に分けられて呼ばれることが多いのですが、ぺルシャ結びの中でも右開き・左開きと種類があったりペルシャ(イラン)でもトルコ結びを使うこともあるので 「対称結び」「非対称結び」とした方が語弊がなくわかりやすいのではないかと常々思っています。
対称・非対称というのは経糸2本に対して正面から見た時の糸の左右のカタチが対称かどうかを表します。

今回のバルーチのラグは非対称結びで結んだ糸の毛先の部分が左側に向かって開いているという事になります。
全ての特徴が必ずしも一致するわけではないですが、現地で実際に織っている人に直接聞けるのはうれしい情報です!

その土地に足を運んで、実際に見たり聞いたりした情報を少しづつでも集めていきたいものですね。

今回3軒のバルーチ族のお家へお邪魔させてもらいましたが、今の定住しているバルーチの人々の暮らしの様子を見させてもらえたことはとても貴重な経験になりました!

ほっと一息、、

ずっと村を案内してくれていたシャハルバーヌーさんのお家で少し休憩です。
かわいい赤ちゃんがストーブの前で気持ちよさそうにお昼寝をしていたので、寝顔を眺めて癒されているところです。

重低音が体に響いてきそうな巨大スピーカー風の黒い箱状ストーブは、日本でも昔使われていたのでしょうか?
あまり見たことのないカタチをしていました。
私の記憶の中で一番これに近いカタチをしていたものは、シルバニアファミリーのキッチンにあったオーブンです。
(もしかしたら共感してくださる方がいるかもしれません!)

熱々のチャイを頂きながら、少しラグを見せてもらいます。
何枚かプレイヤーラグを買付けましたが、これは売れないけど、、、と兄弟が結婚する時に織ったというラグを見せてくれました!
木の根元に英語でイニシャルが入っているんです。やっぱり心のこもった贈り物は嬉しいですよね。

大切な家族のために作られたラグは暖かくて優しいオーラを放っていたように感じました。

長かったマシュハド編は次が最終章です!
赤ちゃんと素敵なラグで優しい気持ちになった後、ちょっとしたハプニングが訪れます。

旅はまだまだ続きます。

つづく