『パン職人の足もとへ続く道』

古い映画館の上映ポスターのようなこちらのラグ
今回は、こちらを深堀りしてみましょう。

ガッとにらみを利かせております

この構図。
漫画などで見かける回想シーンによくある構図だと思いませんか?
と、いうことはこの老人は右上の青年の言葉、ないしは何かを回想しているのかしら・・・・と思いを巡らせました。
そうなったら私の悪い癖が始まります。そう。妄想癖。
コマツが想像した物語の世界へ・・・・

至高のパン職人・人生を振り返る

13歳で有名なパン職人の師匠に弟子入りしたモハメッド
ただただ、小麦粉をこね、ねかせ、イースト菌を発酵させ続けました。

見た目重視のキラキラした菓子パンには一切見向きもせず、
王様の専属料理人の話も断わり
ただ庶民向きの素朴なパンを作り続けたモハメッド。
パン作りにその人生を注ぎながら後身の育成にも務め、数々の弟子を世に輩出した彼は、 齢80歳の春、相棒のように共にした古びた窯焼きの前でふと足元を見つめます。

そこには数十年分の小麦粉が混ざった凸凹した乾燥した土
「まるで私が歩んだ道のようだ・・・」
決して楽ではなかったパン道を振り返りながら、今までの苦悩や喜びを思いだすのです。
「一生をかけてパンをつくってきたが、いったい私は何を後世に残したのだろうか。やがて動けなくなった時に私に残るものはなんだろうか。地位も名誉も捨ててただ、一心に働いた私は正解だったのだろうか」

モハメッドは80歳にして、自分の人生を振り返ります。
彼のようにふと、何かを思い返すきっかけって
大小関係なく何かの出来事だったり、彼のように足元の土だったり
空高く飛ぶ鳥だったりするわけです。
もちろん、このラグを見ながら「あれ?何やってたっけか?」とさっきまでの作業を振り返ってもいいのです。(わたくし、3歩歩くとすぐ忘れます)

モハメッドの代表作のパンたち

そこへ18歳の独立したてのモハメッドが現れます。
若者はパンに夢や希望を沢山抱えています。キッラキラしています。
パンで人を救えると思っています。
同じ修業仲間はお金に惑わされて向上心をなくす者、あきらめて去る者
パンつくりの情熱はとっくに忘れパンを金儲けだけの手段で作る者が増えていきます。
そんな仲間の心変わりに悲しみを抱きつつも、理解もできる環境に
モハメッドは真面目な顔で心に決めるのです。

ぐいいいいいぃぃぃぃぃ~~~~~~


「この先、何があってもお金や名誉や地位などに振り回されず、僕の周りにいる人たちが一口食べて、笑顔になるパンを作るぞ!身近な人を幸せにできれば世界中の大勢の人を幸せにできるんだ!」

そう。モハメッドのパンはいつでも庶民の味方でした。
どんなに食欲のない時でもモハメッドのパンを一口頬ぼれば
小麦粉の甘さと香ばしい匂いが口いっぱいに広がり
笑顔になって元気になるのです。お金がなくても
「出世払いだよ」といってお腹いっぱいになるまで子供たちにパンを食べさせるのでした。
モハメッドのおかげで大出世した若者、病気が治った者、人生の幕を閉じる最後の食事として家族にリクエストをする老人もいました。

そう、モハメッドは足元を眺めながらきちんと生きたと実感するのです。
昔の自分に恥ずかしくない職人人生だったと。
これで自信を持ってパン道から卒業できると、焼き立てのパンを手に笑顔で空を見上げるのでした。

相変わらず、長かったですね。私の妄想癖。ゆるしてくださいませ。

途中でモハメッドのパンを食べたい。と思ったそこのアナタ、
これは架空の人物のお話です。
あぶない。あぶない。

でも、もしかしたら遠い異国の片隅でモハメッドのようなパン職人は
今でも実在するのかもしれません。(遠い目)

こんな素敵で実直なモハメッドの余生がどうか、素敵な家庭で過ごせますように。
モハメッドに沢山の祝福がありますように(遠い目)

No.84152

トライバルラグ

SIZE : 112×77cm

Price : 56,100 /税込