『芸術は爆発していますか?』

世界史の教科書で一度は聞いたことがある「ペルシャ帝国」
「ペルシャ帝国」の国旗にはライオン(獅子)のデザインが描かれているのはご存じでしょうか?

サーベル(刀)を持って、太陽を背負った勇ましい獅子がこちらをみている。
力強く振り下ろせば、硬い石でも砕くほどの鋭い刃を持ち
背中には太陽を背負って、後光をさしているかのような高貴あるデザイン
自信に満ち溢れている一頭の獅子。
それもそのはず、この獅子は「王の中の王」 と呼ばれている。
王は品位があり威厳があるはずだ。そりゃそーだ。

さて、説明が長くなりましたが「王の中の王」のイメージを持ったまま
こちらのギャッベを紹介しましょう。

つっこみたいところは山ほどある。
まずは、その刀。そんなひん曲がった刀じゃ何も切れない。
研ぎなさいよ!今すぐ研いで!早く刀鍛冶を呼んできて!と言いたくなる。
太陽には顔がついていて擬人化しちゃうと途端にゆるキャラのようになるから、あら、不思議。(個人的には擬人化大好き)
そして、きわめつけは頭頂部の髪。
わたしの見間違いではなければ左頭の部分にブラウンの髪がないように見える。
みなさん、そうですよね?、、、ないですよね?
職人さん、いくらなんでも潔すぎだよ。
これじゃ、王様の品位も威厳もへったくれもありゃしない。
なぜ、そこの部分だけ頭髪を抜いたかは、私じゃ皆目見当もつかない。

木を見て森を見ず

ここで一度、深呼吸をしてみましょう。
ペルシャ帝国の獅子だと思うから、動揺して一瞬取り乱してしまったのだけど違う角度で眺めてみると、日本を代表するあの芸術家に見えてくるではないか。
なるほど!太陽のモチーフを背負っているのも合点がいく。
遠いイランの職人さんにまであのお方が浸透しているのかもしれない。

芸術は爆発だ

いわずもがなですよ。
岡本太郎大先生。

爆発しちゃったから頭髪が抜けているのね。そして大先生といえば
沢山の作品があるけれども、すぐに思いだせるのは「太陽の塔」
太陽の塔については各自で調べていただくとして(色々と調べるとかなり面白い仕掛けが沢山あって面白かった)共通していそうな部分をもう1つ見つけてしまったので、ここでお伝えさせていただきたい。
こちらの縁のデザインの色使いも気になるポイントの1つだったけれども
調べていくと太陽の塔の内部にある「生命の樹」
血管の中に間違って入り込んでしまったかのような赤々とした脈の内部の一部、
あの空間の色合いにとても似通っている。
生命のエネルギーがビシビシ伝わってくる空間に「う~~~~」と言葉にならない感動をしたのですよ(行ったこたあない。写真だけでしか見ていない)

そしてこのギャッベはやはりベースの色が肝だと思っている。

ここが白かったらダメ。太郎先生(獅子)が浮かび上がりすぎる。
かといってブラウンはナチュラルになるし他の色もダメ。奇抜になりすぎる。
やはりこのグレー。濃すぎもせず薄すぎもせず。絶妙なチャコールグレーが肝なんじゃないかと思っている。

うまく作る必要なんかない。うまく出来た作品なんて、面白くもへったくれもない

岡本太郎先生が言っていた。
最初に、ひん曲がった刃だの、頭皮が飛んでいるだの、獅子の顔が北野武にも似ているだの言って取り乱してごめんなさい。(たけしさんは言ってなかった)
確かに、ギャッベやトライバルラグはこういった職人さんの少しユーモアな個性があるから温かみを感じ、唯一無二の愛着の持てる1枚に変わっていくんだったということを再発見したラグでした。
今回も、色々なところに飛んで行ってどうにか無理やり着地点を探しているコマツのRUG IS GOODももうすぐ終わります。

自分のお気に入りの変わった1枚を見つけて「なんだ、これは!」と岡本太郎先生の口癖のように、色々と感じてもらえるとラグ探しも奥深いものになります。
是非、Layoutでお会いしましょう。

(Text :Komatsu)

No.91589

ギャッベ

SIZE : 88 x 64cm

Price(tax in): 60,500