こんにちは!平井です。
今日私がご紹介したいラグは、 、、
イラン北東部のラザヴィーホラーサーン州にあるグーチャンという町の近くに暮らすクルド族のラグ。
現地の人の話しだと推定で1960年代のものとのこと。
さっと広げた時の雰囲気がたまらなく好きな1枚。
グーチャンといえば、思い出すのは2019年の買付でグーチャンへ行った時のこと。
マシュハドからクルドのラグを求めて車で何時間かかけてグーチャンへ行ってみるが、町中でなかなかラグに関する情報が得られなくて、目当てのラグを見つけられなかったことが今でも悔やまれる。
見つけられたのは何件かの絨毯屋さんだけ。行ってみると新しいキリムがほとんどで糸屋さんにも行ったがセレクトしたかったラグはほとんど見つからなかった。
しかし、いい思い出もあって、町の中心にある通り沿いの木々が青々としていて歩いていてとてもさわやかで気持ちのいい場所だったという事。
↑写真がお隣のボジュノルドの町しかなかったが、こんな感じです!
南部のファールスやホラーサーンでもバルーチ族が暮らす乾燥したエリアの景観とは違っていた。
北西部のハマダーンやケルマンシャーのあたりのように車窓からも緑が見えて車で走っていても気持ちがいい!
イラン西部のクルディスタンからトルクメンなどの部族の侵攻勢力を抑えるために、一部のクルド族がホラーサーンへ移動させられたことからこの辺りにもクルドの人たちが暮らすようになったといわれているが、どこか故郷のクルディスタンにも似た風土が定着へつながった1つの理由なのかもしれない。
このラグはテヘランのバザールから少し離れたところで見つけたラグ。
広げてもらったときに直感的に好き!と思ったが、後で分析してみると選んだ理由となるポイントがわかった。
このラグをセレクトした決め手になった3つのポイント!
①彩度の低い色合わせ
全体の色の彩度が低くつやっとパイルが光ると渋く輝くところがすごく素敵!こういう色合わせはグーチャン辺りに多い気がする。
ベージュのウールの経糸、ブラウンのウールの緯糸も一役買っていて全体の色のまとまり感がいい!
②ゆるい波
バルーチもよく使うまわりを囲む波のようなデザイン
このクルドのラグは白いそれを緑色のアウトラインで囲み、1波ずつが大きいところが特にお気に入り。
いや!ネイビーの波を緑で囲ってるともいえる。どちらの色が目に入ってくるかで違う見え方をするところも面白い。
このぽってりとしたかたちが全体の雰囲気を少し柔らかく、 見る人の緊張をほぐしてくれているように感じる。
私のリビングにあるグーチャンのクルドのラグも同じようにゆるい波が囲んでいる。
バルーチなどでは「走る犬・running dog」のデザインとも言われるが、私のラグの波に1は羽だけ小鳥が紛れている。
たまたま点が目に見えただけかもしれないし 、織り手のレディの遊び心かもしれないけど家に敷いて何か月か経った後、ソファーに座っていた時にふと目に入りラグを抱きしめる勢いで駆け寄って一人で「えー!可愛い!」と大きな声を出したのを覚えている。
それからこのゆるい波のデザインが大好きになった!
③応援したくなる八芒星
八角の星モチーフをまず1つ織り込んでみる。ちょっと中心がズレちゃったかな。上のひし形では挽回だ!と見事に中心に織りあげたこの過程がとっても楽しい。
思わず応援したくなる、ラグにどうも弱い。
他にもこのラグの好きなところはたくさんあるが、
間接照明の少し薄暗い部屋でやわらかい灯りに照らされたこの子をコーヒーを飲みながらぼーっと眺めたらすっごくリラックスできるんだろうなぁ…
とそんな妄想が頭によぎるだけで,、十分セレクトする理由になるのかもしれない。
私がラグを選ぶときは、とにかく加点方式で好きなポイントをどれだけ見つけられるかを大切にしている。
好きポイントはラグを使っていくうちにどんどん加算されていくので、100点満点中70点だったとしても、すぐ120点を越えてしまう日がやってきますよ!
(Text : Hirai)
Tribal rug
Vintage Quchan
No.997376
Size : 194×117cm
Price : 198,000(税込)