『アリスの影踏み遊び』

紹介したいラグが山ほどあっていつも頭を抱える小松がおススメする今回のラグはこちら。
いつもは動物柄や可愛いラグに目が奪われますが、今回は少し趣向を変えて奇妙でいて、でもなぜか目が離せなくなるラグをご紹介いたします。

ぱっと見の私の印象は「トランプの柄みたい」でした。
ただ、トランプの裏にある柄にありそう・・だけではない何かをこのラグから感じました。

奇妙な影絵のような柄もありかなりシュールなデザイン
奇想の版画家と呼ばれたエッシャーのだまし絵的要素もございます。
こちらの職人さんをトルクメン族のエッシャーと呼ばせて頂きます。
色々なパターンを埋め尽くしている独創性の強いデザインで落ち着いた配色は
見れば見るほど、どんどんこのラグの魅力にはまっていってしまう危なさがありますね。

噛めば噛むほど・・・というスルメみたいなラグですね。

いきなり、日本酒が合いそうな例えになりました。
話を戻しましょう。

さてじっくり柄を見て見ましょう。
いますね。真ん中あたりに。わかりますか?
トランプと言ったら何故か煙たがられる「JOKER」が被っていそうな帽子が隠れています。
「隠れていたって、頭見えてんぞ!」と言ってあげましょう。
ババ抜きなんて最後にJOKERが残ったら負けなんて言われちゃう彼らです。
とんだ失礼な話ですよね。やはりここはそっとしておいてあげましょう。

JOKERの歴史を紐解くと「宮廷道化師」と言われていて時勢を読めるキレ者も多かったそうで、度々小咄に合わせて王様に政治の方向性などを進言していたそうです。
そう考えたら、なんだかカッコよくも不気味にも見えてきちゃいます。

赤と黒の配色が多め。
この辺りもトランプを彷彿とさせるのかもしれません。
トランプから想像できるもう1つ「鏡の国のアリス」でアリスが宮廷の中でトランプの庭師や兵隊に囲まれて ハートの女王から追いかけられる一場面も思い出しました。
よく見ると時計をもった白ウサギが出てきそうです。出てきませんけど。

そしてここ。
真ん中あたりにまるでコンテンポラリーダンスしているような影絵があります。
両手を天に掲げて腰を45度に曲げている姿は何を表しているのでしょう?
全く分かりはしません。

そして忘れてはいけません。
トルクメン族のギュルモチーフが集められている様な、ステンドグラスの様な、
または万華鏡を覗いたような素敵なデザイン。
よく見ると、間には「✕」の文様がありますね。
「永遠に良いことが続きますように」という思いが込められております。
個人的にトルクメンのラグには「✕」が小さく描かれている事が多くあるように思います。
奥ゆかしい女性的な部分のある所も魅力ですね。

と思ったら、こちらでは魔除けの文様「S」の鏡文字のような
文様が枠から今まさに、はみ出ようとしている箇所もありました。
この職人さんキッチリしていて細かいと思ったら大まかな所もありました。
やっと、お友達になれそうな箇所を発見しました。

おススメは本棚の前やデスクの下に。
作業や読書時間の邪魔をしない大人しい色使いですが、よく見ると色々と緻密なデザインで見ていて飽きずに空想力を高めてくれそうです。

ラグから暮らしをデザインする。
まさにこの言葉にピッタリな1枚を見つけました。
これだからラグの世界は楽しいですね。

(Text :Komatsu)

No.78087

トライバルラグ

SIZE:143×104cm

Price:132,000