ハンドメイドラグはそのクォリティやジャンル、用途によってそれぞれ厚みに違いがあります。

例えば、ペルシャンラグなどの美しさを求められるラグは結び目を細かく織り上げ、毛足を短く刈ることで細密で美しいデザインをクリアに表現していますし、遊牧民が織り上げる実用的で素朴なラグなどは結び目も大きくなっていて、代表的なギャッベなどは毛足も長くフカフカで居住性を重視していることがわかります。
また、最近では結び目を細かくし毛足を短くすることで、柄やデザインの表現をより重視したハイクォリティタイプのギャッベもあります。

シャーリング

ハンドメイドラグには織り終わった後の仕上げとして表面をカットし、全体の毛足を整えるシャーリングという工程があります。
高い完成度を誇るペルシャンラグなどはその産地ごとに美しく仕上げるための厚みが決まっていて繊細な作業が求められますが、ギャッベなどの素朴でゆるやかなラグなどは織り手やシャーリングをする人の感覚に委ねられるケースが多いように感じます。

ラグの厚み

厚みはラグの上を歩いた時の感触や座った時の居心地、柄の見え方に影響します。
ただ、厚みがあれば居心地が良いのはもちろんなのですが、薄いラグでもフローリングの床にあるとないとでは居心地がビックリするほど違います。

こちらではラグの厚みについてお紹介していますが、なんといってもハンドメイドラグ、あくまでもおおよその厚みです。
真横からみるとラグの厚みの違いがハッキリわかると思います。

ギャッベ

Layoutでは、2タイプのギャッベをご紹介しています。
オリジナルタイプは結びが大きく、厚みもあるので柄もゆるやかな表現のものが多く、ハイクオリティタイプは結びが細かく毛足を短くしているので織られた柄がきれいに表現されています。

トライバルラグ

Layoutでは、いろいろな部族、地方のラグをご紹介していますが、とにかくバイタリティが豊富で個性的なものばかり、ラグの厚みに関しても個体差が激しいのであくまでも参考ということでご了承ください。
シラーズは傾向としては結びが大きく厚めのものが多くみられ、バルーチはしなやかで薄いものが多くみられます。

ペルシャンラグ

高い完成度と表現力が魅力のペルシャンラグ、そのなかでカジュアルな「ムード」と「ナイン」を比較しています。
ムードはペルシャンラグのなかでも厚みがあるので踏み心地がよく、柄も厚みのわりにはキレイに表現されています。
ナインはムードに比べ結びも細かく毛足も薄いので柄も美しく表現されているように思います。

結びと毛足の長さ

ラグの毛足の長さと柄の細かさは比例しています。毛足が長くなるとどうしても柄がぼやけてしまうため、柄をより綺麗に見せたい場合は毛足を短くします。左がオリジナルタイプ、右がハイクオリティタイプのギャッベです。


こちらはラグの結び目の拡大画像です。
いちばん左がオリジナルタイプのギャッベで、右にいくにつれハイクォリティのギャッベ、そして一番右端はペルシャシルクの最高品質のものになります。(オレンジの枠はだいたい1センチ四方です。)

写真のペルシャシルクは1センチ四方に縦12×横12(約144個)もの結び目があります。

ハンドメイドラグは、 「ラグの厚み=デザインの表現力」が比例しているものが多いのですが、稀に毛足があるのにデザインの表現がびっくりするほど美しいものもあり、つくづく奥の深い世界だなぁと感じます。

結び目の細かいものは、それだけ手間をかけているのでデザインの表現力も高く目を引くものが多いのですが、結び目の大きなラグもおおらかで優しさに溢れていたりと、正直こればかりは好みなのではないかと思います。

じぶんの”好き”という感情に敵うものなんてないですよね。


新入りのラグたち