インテリアから見る日々 Vol.4

株式会社FAH末好宏紀の連載ブログ。

このブログも4回目。

続けることの大変さを身を持って感じております。

人に読んでもらって飽きないようにしたいと思っていて、それを考えれば考えるほど。ドツボにハマっていくわけです。

そこで、自分が『この人の話は飽きない』と感じる人を想像しました。

その人は、とにかく楽しそうでした。

そう、このブログを誰よりも楽しんでみよう。

せっかく、前田さんが与えてくれた機会です。
『チャレンジ&エラー&チャレンジ』失敗は、とてもポジティブな結果で、成功や成長に近づくもの。

さぁ、今日はどんなブログになるか。その前に。恒例の。。。前回のブログは、前田さんはどんな反応だったか気になりますか?

今回は秘密です。

さて、本題へ。

『値段の違いについて』

素材の違いや、デザインの話を書こうと最初思ったのですが、今回は、少し違う角度で値段の違いを書いてみようと思います。

なんとか、自分の夢だったインテリアに関わることで、生きていけている今日この頃。

この業界に入った時に、私自身も疑問に思ったこと。

『なぜ、この椅子はこんなに高いんだ。』

私が、前職でお世話になった会社には、

『THE CHAIR』と、言われる椅子がありました。

その椅子は一脚50万(当時)くらいするのです。

何もわからず、『インテリアかっこいいなー』くらいだった私に降りかかった最初の難題でした。

当時の先輩に聞いたり、本を見たり、色々調べてみて、情報を知ると多少は価格が理解できるようになりました。

例えば、木目ができる限り左右対象になるように、木を選んでいる。出来る限り少ないパーツで成り立つように、特殊な組み方をしている。ジョン・F・ケネディがTV演説会で座りそれがとてもかっこ良かった。(実際このエピソードでこの椅子は世界に知られる事になりました)などなど。

あらゆる理由がありました。

正直、早くインテリア通になりたかった当時の私は、これらの理由をただただ、お客様に伝えていました。

でも、売れないのです。

50万円もする椅子がそう簡単に売れる訳がないと思ってました。時は流れ、ある有名なメーカー(誰もが知る有名な椅子を作っている)の方と話をする機会がありました。

その椅子は、世界を変えた椅子の一つで、当時、椅子に使う事は無かったFRP(プラスチックのようなモノ)という素材を使いました。大量生産できる、美しいデザインの椅子が誕生しました。

その椅子は、今のモダンインテリアの世界でも廃れることなく継続しています、ただ、70年も前の椅子なので、模倣品もたくさん世の中に出回っています。
品質的には、ピンからきりまであります。

その模倣品との違いをメーカーの方に聞きました。すると、『確かに、この椅子の素材自体は高いものではありません。原価からすると高い金額設定に思われるかもしれません。』

びっくりしました。

その方は続けてこう言いました。

『ただ、この椅子の値段には、未来に素晴らしい椅子を残すお金も入っています。』
『私たちは、お客様からいただいたお金でデザインを守り。』
『そして、未来のデザインに投資しています』
この椅子を買うことで、より素晴らしい未来のインテリアを作っていくのです。

目からうろこでした。椅子そのものの価値しか考えたことのなかった私には、とても衝撃的でした。

THE CHAIRが売れなかった理由がわかりました。

椅子の話だけをしていたからです。
その椅子が持つストーリー。歴史。そして、その椅子を持つことの価値観。それがもたらすことで、使う人にどのような事がおきるのか。

インテリアは、消費されるものではありません。

なかには、一生を超え、子供や孫にまで引き継がれるモノもあります。
時代を超える素晴らしいデザイン。作り。素材。
そして、そのモノを通して得る『満足や充実感』この感覚は人によってさまざまだと思います。
そこに価値があるのだと思います。

『値段の違いについて』

それは、どれだけの時間軸で作られたかだと思います。
今や短い期間のことを考えて作られたものは、必然的に安価になります。
100年使うことを考えた商品は、やはり高価になります。
100年使えるモノを作るには、『良い素材』『廃れることのないデザイン』『耐久性のある作り』など、あらゆることを考えないといけません。

もちろん、どちらが良いか悪いかではありません。自分の好きな方でいいと思います。
消費社会と言われる、現在。時を超えて、歴史を作れるモノのを手に入れる方が難しいかもしれません。
全ては正直難しいでしょう。一生大事にしたいモノを持っている人が、私は、素敵だと思います。
もし、一生大事にしたいと思うモノに出会った時、高価だと思ったらこのブログを思い出してもらえればと思います。

『価格の違いは、時間軸の違い。』って思っていただければ嬉しいです。

(text : SUEYOSHI)


SUEYOSHI HIROKI

株式会社 FAH 代表取締役 
1985年広島生まれ 京都育ち 1年だけカナダ暮らし。
20歳のときに入ったインテリアショップに衝撃を受けインテリアの仕事で生きていくと決意。23歳から35歳まで、広島のインテリアショップに勤務。自分のごだわりではなく、依頼者の理想を暮らしやインテリアを具体化する『カメレオンコーディネーター』を目指し日々を過ごす。
2020年 株式会社 FAH 設立。
個人宅。モデルハウス・ルーム。店舗(ホテル・飲食店等)商品開発などインテリアに関わる事を楽しくするために日々挑戦中。