心に残る場所
好きなデザイナーって誰ですか?
好きな家具ブランドって何ですか?
と聞かれることがたまにありますが、実はいつも返答に困っています。
ジャスパーモリソン、マールテンヴァンセーヴェレン、とか好きだし、シャルロットペリアン、ジャンプルーヴェも好き。
ポールケアホルムもマルセルブロイヤーも良い。
ソットサスとかロンアラッド、マークニューソン、マルセルワンダースも見てて楽しいしなぁ。
フィンユール、アルネヤコブセンなど北欧も捨てがたいよなとか。
これに好きな家具ブランドを考えるとアルテックとかハーマンミラー、フリッツハンセン、ヴィトラ、モルテーニ、ノル、モーイ、マジスなど。
まだまだあるなと考え始めてしまい結論の出ないまま答えられず終わっています。
インテリアに興味を持ち始めて、ジャンルや国など関係なく色々見てきたせいなのか、信念がない自分のせいなのか。
色々見てきた中で、いくつか心に残っている場所や展覧会があります。
その話を少しだけ。
2009年30歳ロンドンへ旅行に行った際に、現地に住んでいる友人から教えてもらったテムズ川沿いのデザインミュージアム。
20世期以降のデザインに特化したミュージアムで現在は新館が出来て拡張されているそうです。
その時に、「Less,but better(より少なく、しかしより良く)」という言葉も有名なプロダクトデザイナー ディーター・ラムスの展覧会が偶然やっていました。
当時BRAUNの製品しか見たことがなくて、展示されていた多数の家具やヴィンテージオーディオに鼻血が出そうなぐらい興奮して閉館時間ギリギリまでいたのを憶えています。
ここで見たVitsoeの壁面収納システムは、いつか自宅に取り入れたいと考えています。
次は2017年に東京国立近代美術館で見たマルセルブロイヤーの家具展。
建築家でも有名ですが、この展示は家具に特化していて、マルセルブロイヤーの家具を堪能できました。
ワシリーチェアの名前の由来や、今と昔のワシリーチェアの違いなど知らなかったぁと心の中で思いながら鑑賞していました。
カンティレバー構造と藤張りのチェスカチェアを自宅のダイニングチェアにしたい。
この2つの展覧会だと、バウハウスの合理主義的で機能的であまり装飾もないシンプルな物を自宅で使いたいんだなと書きながら考えています。
家具のコレクターって訳ではないので、見るのは好きでも、自宅にはちょっと合わないなって物も多いです。
物が少なく生活感の無い空間も好きですが、お気に入りの物に囲まれて暮らすのも好きです。また、分からなくなってきた。
2018年に行ったVitra Campus。スイスとドイツの国境沿い、ドイツ側にあるVitraの施設で、着いた瞬間から震えが止まらない、視点が一点に定まらず、もう不審者だったんじゃ無いかなと思うぐらい興奮しました。
有名建築家の建物、ショールームの展示方法、所蔵してある圧倒的な数のブランドや年代を問わない家具や照明や書籍。
ここは天国では無いのかと、初めて行ったフジロック以来人生で2回目の感覚を感じました。
特に印象的だったのは、屋外に数々のVitra製チェアが置いてあったんですが、まるで原っぱに花が咲いてるように見えて綺麗だったなぁ。
しかも座りたい放題。
やっぱり天国ですね。スケージュールの関係で半日しか居られなかったけど、3日ぐらいは居たかったというぐらいの情報量満載で、また行きたいと思っている場所です。
この後、ミラノサローネに行ったのですがこちらも凄かった。インテリアショップに勤め始めた時からの、目標の地。
高校球児なら甲子園、歌手なら日本武道館、インテリアショップ勤務ならミラノサローネと個人的には考えてるぐらい。
フィエラ会場の前では失神しそうでしたし、俺も遂にここまで登り詰めたなと一応仕事で行けたので(インテリアは趣味でもあり、仕事でもあるので仕事だけとは言えない)達成感に浸ってしまいました。
自分の旅行記みたいになってますね。
見れば見るほど、知れば知るほど興味の幅が広がっていくのがインテリアって事です。笑
終わりなき旅。
(text : Doi)
DOI KOUHEI
富山県出身石川県金沢市在住 40歳
家具に興味を持ってから、インテリア関係の仕事に就きたいと思い金沢のインテリア専門学校へ、店舗内装デザイン会社の後、23歳ぐらいからインテリアショップ勤務。
現在も、金沢市内のインテリアショップで販売、法人営業、家具プラン作成たまに配送と何でもこなす。
趣味は、太らずにお酒を飲みたいための適度なランニングと包丁で野菜を切るのが楽しいので簡単な料理。