TKの日々のこと

茅ヶ崎に住んでいます。
すごい、唐突ですが茅ヶ崎に住んでいます。

「海の近くに住んでます。」というと決まって次に聞かれるセリフは
「サーフィンやってるの?」です。定食セットのご飯と味噌汁ぐらい
当たり前でしょって感覚で聞かれます。

全くやっていません。

1度、友人のウエットスーツを借りて波に乗った事はあります。
初めての割には波に乗れて「素質あるよ!」とまで言われましたが
ハマりませんでした。

「海の近くに住んで羨ましい」ともよく言われます。
確かにいい部分も沢山あります。
しかし、決してそれだけではありません。
私は海が近くでも今までは年に数回しか行きません。
どちらかというと海があまり好きではありませんでした。
こんな茅ヶ崎人は意外と沢山います。

海風にもろに浴びる自転車は、大体買ってすぐに錆び始めます。
14時すぎまで洗濯物を干しているとしっとりを通り越してべったりすることもあります。
最近ではめっきり減りましたが、夏は国道134号線を走る暴走族が
奏でるエンジンの音色がうるさくて眠れない時もありました。

天気のいい日に、優雅に昼食をベランダで食べようと外でご飯を食べていると
ピ~ヒョロロと頭上に旋回していたトンビが無言で低空飛行を始めます。
誰も信じてくれませんが、昔、リアルファーのついたダウンコートを着て歩いていたら横をトンビがビュ~~~~ンッツッツッツと飛んで行ったことがあります。野生動物の恐ろしさを感じました。

夜道を歩いていると大きい太った野良猫が横切ります。
と、思ったらタヌキだった・・・なんていまだにあります。
夏は海までの抜け道が近くにあるので
隣町の大きな薬局に行くにも大渋滞で嫌気がさします。
元漁師さんのおじいさんが沢山いるので会話が怒鳴っているように口が悪くてビクッとなります。


もちろん昔は、都内に憧れて何年か住んでいた時期がありました。
今でも思い出します。下北沢のアパート
下北沢の古着屋でアルバイトをしながら、友人たちと飲みに出かけたり
ライブや劇場を観に行くのが大好きでした。
刺激があってかっこ過ぎてない下北沢の雰囲気がとても大好きでした。

夜な夜な、飲み明かした私の思い出の青春

でも、何年か住んである日気づくのです。

「私には、東京が眩しすぎる・・・」

私の友人は東京に住んでビックリするぐらいに馴染んだ人と
休日になると電車に揺られて自然を見に行く友人がいました。
私は間違いなく後者でした。
その時、働いていた会社は不規則で明け方に帰宅することもざら。
徹夜も普通にあったのでどうしても職業柄、東京に住んでいましたが
職場を離れると同時に茅ヶ崎へ戻りました。

あんなに海に行かなかった私が最近では休日に自転車を走らせて海によく行きます。
こんな時期だから、海が一番安心してリラックスが出来るからです。
海に行くと頭の中の色々なことがすこ~~~んと消え去ります。
ボーと地平線を見ながら波の音を聞いて海に癒されて助けられています。

なんだかんだ言っても私は茅ヶ崎が大好きです。
「生きる場所と暮らす場所は違う」と何かの本で読みましたがその通りだな
と最近よく思います。
トンビにサンドイッチをさらわれたって、お気に入りの自転車がすぐに錆びたって
真夏に上半身裸のビーサンを履いたぷよぷよのオジサンたちが自転車で沢山横切ったとしても。

真夏の抜け道の更に抜け道をたどって隣町にいく楽しみも増えました。
タヌキをみると宮崎駿巨匠の「平成ぽんぽこ狸合戦」を思い出しては
なんだか「頑張って」って思うときがあります。
口が悪い元漁師のおじいさん達が本当は恥ずかしがり屋で優しい事もちゃんと知っています。

ちょっと気分が優れない時でもこんな偉大な夕焼けを見せてくれて
「ああ、まだこの景色を見て綺麗と思えるから私は大丈夫だな」と思ったり
海は時には怖いけれど、毎日ちゃんとそににあって綺麗な景色を私たちに見せてくれます。

「やっぱり茅ヶ崎っていいな」と
べったりした洗濯物を取りこみながら今日も私は思うのでした。