インテリアショップでは新品の家具を販売することが、メインではありますが以前ご購入いただいた家具や他店で購入された家具のメンテナンスを依頼される事も多くあります。
僕自身は、メンテナンスする技術も知恵もないので、家具メーカーさんやメーカーでは対応しきれないものは、地元の職人さんにお願いをして何十年とお客様が使用してきた家具のメンテナンスを行っています。
一番多く依頼をいただくのはソファの張り替え。
あとはCH24Yチェアの張り替え依頼も多いですね。Yチェアの張り替えは、ネットを検索すると色々な所がヒットしますが今のお店は、カールハンセンの正規販売店なので、カールハンセンに依頼してます。(デンマークと日本のみがカールハンセンでの張り替えが可能と聞いたことがあります。)
以前も、60代のご夫婦から依頼があり結婚した時の婚礼家具でYチェアを購入して40年近く使用され、切れたり弛んでいたペーパーコードの張り替えをしました。
ペーパーコードも頑丈とはいえ、永く使っていると張り替えのタイミングは必ずきます。
犬を飼っていたそうで、木のフレームに沢山の噛み跡もあり交換できる箇所もあるとお伝えしたのですが、座るのに支障がなければそのままで良いですと言われました。
よく、家具や家についた傷は思い出になるとか聞いたり書いてあったりしますが、この方はそんな感覚なのかなって思いました。
でも、最初のうちは気に入った家具は、できる限り綺麗に使っていきたいと思うもので、僕自身も最初はそう思って使うのですが、何処かで考え方が切り替わるんですよね。「もう良いや、傷なんて気にしてたら家具なんて使えないよ」と思ってしまい、そこからは、思春期の高校生が親にする様な愛ある雑な扱いに変わっていきます笑。(ちなみに我が家にある家具の傷は、どうして傷があるのか分からないものばかり)
ソファの張り替えは、カバーリング方式を採用しているブランドが多いので大抵はソファカバーのみ新規作成をして、お客様宅で掛け替えるというのが現在の主流になっていると思います。
カバーは外してクリーニング可能なのが良い点ですが、精巧にカバーを作っている所ほど掛け替えに苦労します。慣れない人は多分出来ないと思います。接客時に、ご自宅で簡単に!って言葉は、疑った方が良いです笑。
出来ますが、簡単ではない。
クッションの中材も、消耗品なのでカバー交換時に可能なら一緒に交換するとソファが新品に蘇ります。以前、お客様から新品から少しへたったクッションを再現して欲しいと言われ、苦労したことがありました。
数年経てばそうなるのですが、待てないと言われ2つほどへたったクッションの試作品まで作りました笑。
レザーソファの場合は、大抵がシミや色落ちなどが補修が多いです。
これはレザー製品の職人さんいお願いするのですが、ほんとに綺麗になります。先日も補修をして納めましたが、出来栄えに大変ビックリされて感動されていました。
新品の家具を納品した時以上にリアクションが良く、何だか複雑な気持ちになったのと、大切に使ってきた物を綺麗にして届けることの良さを感じました。
ただ、なかには直せない物もあったり、直せるのですが価格が高価になってしまい断念され、買い替えになる事もあります。
買い換えることに関しても、特に否定的ではないです。「永く使える良いものを」の考え方は好きですし、そうあることが良いのだと思っていますが買い換えることで、部屋の雰囲気が変り更に居心地が良くなったり、次の家具も永く使っていこうと思えるものに出会えたのなら素敵なことなんじゃないかなと。
我が家にも、ペーパーコードが切れてしまったYチェアがあります。
張り替えようと思いながらも他に座る椅子があるからと放置してますが、いつか必ず張り替えるんだろうなって考えています。
でも、新しく欲しい椅子もあるからと葛藤しています。好きな家具を沢山置ける家に引越すのが、最近の目標です。
修理サービスが終了してしまったEIZOのFORIS。絶対に壊れて欲しくない。
放置している我が家のYチェア
何となくでしか時間が分からなくなったBRAUNの時計。これは買い換えるしかないと思っている
(text : Doi)
DOI KOUHEI
富山県出身石川県金沢市在住 40歳
家具に興味を持ってから、インテリア関係の仕事に就きたいと思い金沢のインテリア専門学校へ、店舗内装デザイン会社の後、23歳ぐらいからインテリアショップ勤務。
現在も、金沢市内のインテリアショップで販売、法人営業、家具プラン作成たまに配送と何でもこなす。
趣味は、太らずにお酒を飲みたいための適度なランニングと包丁で野菜を切るのが楽しいので簡単な料理。