先輩スタッフを見てなかなかの変態だな、といつも思っていますが、人間って実はみんなまあまあな変態で、それが人にわかる形で表に出てるか、出ていないかだけの違いなのかもしれないと朝掃除機をかけながら思いました。人間の持つ変態の総量にそこまでの差はなくて、外に漏れ出た変態の分量が多い人間が、世の中で「変態」と呼ばれるのではないでしょうか。
まだまだ様子を伺っている私の中の変態ですが、おかしなラグを前にすると共鳴して少しだけ顔を出したくなるようです。
今回のラグ。
情報が多いので一つ一つ整理していきましょう。
1.背中に張り付く犬
皆さん、お気づきでしょうか。鳥の背中に犬がいるんですよ。おそらくゴールデンレトリバーです。千葉のマスコットキャラクターのチーバくんと何か近いものを感じるちょっとした無理やり感。そのくせ一度見えてしまうともうそれにしか見えない呪いをかけてくる恐ろしい子です。
2.八川
そしてここ、「八川」ですね。八川と書いてあります。鳥の名前は八川さんということでしょうか。相撲文字のような勢いのある筆遣いで書かれています。とっても粋です。
3.蟻塚
鳥が乗っているこの盛り上がりは、私は蟻塚なんじゃないかと思っています。大胆な遠近法が使われているこちらのラグですが、鳥の大きさから察するにかなりの大きさの蟻塚です。蟻塚の形から考えるとシロアリとかですかね。オーストラリアでは蟻塚に下着をつけて遊ぶというなかなか楽しそうな伝統があると聞いたことがありますが、まだこの蟻塚は施される前ですね。一体この後どんな変身を遂げるのか、想像力が働きます。
4.三本足
三本足の鹿がいます。日本で三本足といえば日本の神話にも登場する八咫烏(ヤタガラス)ですが、イランでも何か三本足の鹿の話とかあったりするんでしょうかね。ちょっと分かりませんが。子供の頃、南米で作られた三本足の豚のお守りを買ってもらったことがありますが、それは幸運を招くと言われていたものなので、この三本足の鹿ももしかしたらたくさんの幸運を運んできてくれるかもしれませんね。
5.蝶々
なんだか不思議な形をしていると思いませんか?二本の触覚の間からもう一本何か生えています。蝶々の口吻と呼ばれるストロー状のくるくるとした口が伸びたものなんじゃないかと、しばらく考えたのち結論付けました。グルグルと巻かれた状態が一般的なイメージですが、伸ばした状態を描くとは斬新な表現です。
たった40cm四方の世界にこんなにも楽しい世界を作り出すなんて、天才ですよね。遠くへ行けない今、目の前の小さな世界に想像力を働かせることがどれだけ大きな意味を持つのか、この小さなラグがそっと教えてくれました。皆さんもぜひ、息抜きにラグを愛でにいらしてくださいね。
(Text : Kawamura)
No.77723
トライバルラグ
SIZE:40×32cm
Price:11,000
SOLD