暮らしとわたし Vol.22

「いつもあるものにほんの少しの変化があれば」

ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展、友だちのSNSをみて気になって行ってきました。元々のメインの予定ではなくて、少しだけ時間があったから、くらいの気分で。
なんの前情報もなくて、なんか面白そう!くらいしかなくて。

後輩と2人で観終わって、一言。

「きてよかった」

それに尽きました。

インテリアの仕事をしているスタッフとして、イベントを考える立場として、ディスプレイで仕事させてもらっているわたしとして、本当に目から鱗でした。

収蔵品展、という言葉がタイトルに含まれているにも関わらず、見始めた時にはちっとも気づかなかったこと。

ライアン・ガンダーが集めたものの展示なのかなぁなんて呑気に観ていて、ふと気づく。

あ、これすべて、東京オペラシティ アートギャラリーが収蔵しているいつもあるものを、見せ方を変えるだけ、集め方を変えただけ、それだけでこんなに面白くて興味そそられる展覧会になるなんて!

“いつもあるもの”

それだけで構成された展覧会。

解説の付け方から、色集めから、いつもあるものがない中での見せ方まで、新しいものや流行、有名なものを集めるのではなく、“いつもあるもの”で作られた展覧会は、ワクワクして面白くて、仕事にもおおいに影響を受けました。見れば見るほど、ライアン・ガンダーの頭の中が気になりました。

まずは、色。

白と黒だけで展示されたアートたちは、「この並び以外にありますか?」と思わせるほどの絶妙なバランスで成り立っていました。

そして次に思うこと

“普通ならあるはずのものが、ない”

アート1点1点にあるはずの、アートへの解説が何もない。

え?これが誰の何という作品か伝えないの?と思って振り返ると、同じサイズのアートフレームをラインで囲っていて、そこには解説がありました。そんな見せ方があったとは、とびっくりしました。すごく奇をてらっているわけではない、だけど、見たことがない、面白い!

こういうすごく難しいことじゃない、やろうと思えばできる、だけど、やってないよね?と思えるインテリアの提案、できるようになりたいなぁとすごく思いました。

大きなヒントをいただきました。

そして、光。

これこそ、ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展の醍醐味でした!

美術館にあるはずの、光。

前回のイサム・ノグチの展覧会で衝撃的に素晴らしかった光の当たり方と真逆の世界でした。

光がない。

小さなハンディのスポットライトを使って自分でアートを照らす、自分でアートの見え方を決める、楽しかったです。

ひとつの大きなアートを遠くから光を当てれば全体が見えるし近くに寄ってほんの一部だけ光を当てれば、もしかしたらいつもなら見逃しているかもしれない細部までよく見ることができて、よくわからないと思っていたアートに自分らしさを交えながら楽しむことができました。

インテリアの勉強にもなったことはもちろんだけど、大きいことを言う!とか思われそうですが、なんとなく自分を見つめ直す時間になりました。

いつもと違う、少し見え方を変えるだけ、自分の見たいように見る、インテリアも毎日の暮らしもほんの少しの変化で面白くなって、つまらなくなることもあって、“少しだけ”が大切だなと学びました。

ほんの少し、いつもと違うことをやってみたり、周りを気にしないで自分のしたいようにする時間を作ってみたり、まだまだやれてないワクワクすることってたくさんあって、これからさらに面白いことができそうな気分になりました。

やっぱり

「きてよかった」

と思う展覧会でした。

出会わせてくれた友だちに感謝です。

そしてその友だちは、さらに面白いものを教えてくれました。

もしその場所に行くことが出来たらお話しします!

(text : Shimazaki)


SHIMAZAKI AYAKO

模様替えがすきで、自分の部屋をしょっちゅうかえていたそんな幼少期を過ぎ、気づけばインテリアを仕事にして12年経ちました。タイプの違うインテリアショップ2店舗の店長をしながら、最近はEC事業にも手を出し始めた好奇心のかたまりのような性格です。集中力は高いけど持続性がかなり低めなのでブログを書くこと、こっそり心配しています。